キャバ嬢とアフターセックス
まったく憎たらしいデリ嬢ではあるが、彼女の指摘も確かに正しい。いまにも死にそうな病人がラブホにいるわけないもんな。設定を変えよう。余命を三ヶ月とし、今度はキャバクラで試すことにする。友人も連れていった方がいいだろう。2人がかりで芝居すれば、より説得力も出るハズだ。
翌日、歌舞伎町へ。呼び込みに誘われるまま入ったキャバクラで、さっそく作戦開始だ。
「実は俺、ガンなんだよね。今日は病院に無理いって、外出許可をもらったんだ。外で遊ぶチャンス、多分もうないから…。ゴホ」
キャバ嬢たちは一様に驚きとショックの表情を浮かべたものの、まだ半信半疑といった感じである。そこで続いて友人が泣きの入った熱演をかます。
「ゴメンね、こんな暗い話して。でもコイツ…うう…余命3カ月を宣告されて…でもこんなに明るいだろ?ホントは今日まで点滴打ってたんだぜ。俺、信じられないよ」
場が、水を打ったようにしんみりとしだした。中にはいまにも泣き出しそうなコもいる。ここは押しの一手でいかねば。俺は、隣りでウーロン茶を用意するミサキに顔を向けた。
「あのう、今日、アフターに付き合ってもらえないかな。こんな体なんで常連にはなれそうもないけど」
「はあ、でも…」
「人生最後の楽しみにしたいんだ。ゴホ。明日病院に戻ったら、もう二度と外には出られないだろうから」
「わかりました。あと1時間で上がるので、待っててもらえませんか」
第一段階、成功だ。 Hな出会い
約束どおり、キツカリー時間で帰り支度を始めたミサキを連れ、近くの寿司屋へ(友人とは別れた)。
腹ペコで死にそうなのを我慢しつつ、さも食欲なさげにお茶ばかりすする一方、彼女にはバシバシと焼酎を勧める。午前2時。店を出たところで、俺は勝負をかけた。
「今晩、一緒につきあってくんない?」
「え?」
「ホテルで泊まろうよ」
言った途端、ミサキの顔が青ざめた。ん、なんだ?
「私、怖いんです。余命3カ月のお客さんなんて初めてだし、そんな人の最後の思い出みたいになるのが、なんだか恐ろしいんです」
「どういうこと?」
「私よりもっとお客さんに相応しい人いると思うんです。こんなこと言うのはヒドイかもしれないけど、残った時間は大切な人と過ごした方がいいんじゃないですか?」
目が赤くなっている。めっちゃイイ子だ。それに比べて俺はなんと悪いヤツだろう。
「でも、俺、彼女とかいないし、ミサキちゃんがいいんだけどな。ゴホ、ゴホホ」
「恋人がいないからって、私を選ぶ理由にならないと思います。もっと人生を大事にしてください。ゴメンなさい」
止める間もなく、彼女が夕クシーに乗り込む。複雑な心境だった。
心配してくれてうれしいやら、悲しいやら。
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2011年10月17日 | コメント/トラックバック(0) |
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